特許事務所の仕事とは?
特許事務所の仕事は、一般的に特許出願(特許申請)、実用新案登録出願、意匠登録出願、商標登録出願の手続きの代理が主な業務です。
しかしながら、特許事務所によっては、特許のみを扱っているところや商標のみを扱っているところもあります。また、特許出願の中でも、機械関連の技術に特化したところや、化学関連を得意とするところなど様々です。
このような差は、各特許事務所に所属する弁理士の得意分野による場合もありますし、取引先の企業の要望による場合もあります。
では、具体的には何をしているのでしょうか?
特許事務所の代表的な仕事である特許出願の手続きの代理について説明します。
特許事務所には、技術を担当する者(以下、技術者といいます。)と事務的な業務を担当する者(以下、事務担当者といいます。)がいます。技術者には、弁理士とそれ以外の者を含みます。
<国内の手続きについて>
(1)特許出願書類の作成
企業などから特許出願の依頼を受けると、まず、弁理士(弁理士以外の技術者が同席することもあります。)が企業の発明者及び知的財産部・特許部の方とミーティング(打合せ)を行います。
その際に発明者から発明に関する説明があります。
また、知財担当者からは企業の知財戦略の方針についての説明があります。
特許事務所の弁理士(及び技術者)は、発明の内容についての主に以下の点について理解し、発明の本質をとらえます。
さらに知財担当者から提示された方針(その裏にある知財戦略)を理解します。
・先行技術(技術水準)についての理解
・先行技術の欠点とその理由についての理解
・発明の背景についての理解
・発明の目的についての理解
・発明の効果についての理解
・発明の構成要素とその相互関係の理解
・効果が生ずる理由についての理解
そして、発明の理解を踏まえて特許出願書類を作成します。
特許出願書類は、願書、特許請求の範囲、明細書、図面、要約書の各書類で構成されています。
これらのうち、特許請求の範囲、明細書、要約書、図面の作成が、技術者の重要な仕事になります。
特許請求の範囲は、発明を体系化してまとめ、権利の抜けをなくすことができるよように、作成します。
明細書の作成は、発明を正確にしかもわかりやすく説明します。
明細書は、発明の特徴部分だけでなく周辺技術や従来技術についても記載します。
(2)特許出願と期限管理
事務担当者は、技術者の作成した書類をもとに、パソコンと電話回線を利用してオンラインで特許出願の手続をします。
また、期限管理を行うのも特許事務所の仕事です。特許出願の手続においては、期限が定められていることがほとんどです。
例えば、特許出願は、出願日から3年以内に審査請求手続をしなければ、特許庁審査官による審査を受けることができず、永遠に特許を取得することはできません。
(3)中間処理
特許出願は、審査請求をすると特許庁審査官が審査をします。審査の結果、特許を与えるのに必要な条件を満たさない場合は、拒絶理由通知が送られてきます。
特許事務所の技術者は、この拒絶理由通知に対して意見書、必要に応じて補正書を作成します。
意見書は、拒絶理由に対して反論し、特許をとるのに必要な条件を満たしていることをアピールする書類です。
補正書は、出願書類の記載内容を修正するための書類です。
もっとも多い拒絶理由は、「進歩性なし」です。この拒絶理由を解消するためには、発明がいかに従来技術と相違し、進歩的なものであるかを、審査官に納得させる必要があります。
この意見書・補正書により、拒絶理由が解消すれば、特許査定となり、特許料を納付すれば、特許権をとることができます。
意見書による反論が審査官に認められなかったときは、審査よりもさらに進んだ審判で進歩性などを主張するために、審判請求という手続を行うこともあります。
<外国出願(特許)について>
外国出願は、国内の企業からの依頼によって、外国特許庁へ提出する「内→外出願」と、海外の企業からの依頼によって日本特許庁へ提出する「外→内出願」とに分けられます。
(内外出願に関する仕事の流れ)
外国出願は、特許協力条約に基づく国際出願を利用する場合(PCTルート)と各国特許庁へ直接提出する場合(パリルート)とがあります。
最近では、PCTルートによる国際出願が増加しています。
●パリルートによる外国出願
(1)外国出願に必要な書類の作成
外国出願は、現地代理人(出願する国の特許事務所)を通して行われることが一般的です。現地代理人に出願国の特許庁へ出願手続をしてもらうための英語の書類を作成することが特許事務所の仕事です。
外国出願に必要な書類は、国によって異なりますが、特許請求の範囲・明細書・図面に相当する書類は必要です。
書類の記載方法は、国によって相違するため、各国の特許制度や審査基準に合わせて、特許請求の範囲・明細書・図面の内容を修正します。次に、修正した書類を英語に翻訳します。
英語への翻訳は、特許事務所内で翻訳専門のスタッフが行うところや、外部の翻訳会社に依頼するところもあります。
外部に依頼した場合は、翻訳ミス(適切な訳語を用いているか、単数・複数か、文章のつながりは正確か)がないか、チェックします。
(2)中間処理
外国特許庁からの書類は、現地代理人を通して日本の特許事務所へ送られてきます。
外国特許庁から拒絶理由通知(Office Action)があった場合は、日本の出願と同じように、応答手続を行います。
●PCTルートによる国際出願
(1)国際出願書類の作成
PCTルートでは、複数国への出願を「国際出願」という一つの出願で行うことができます。
国際出願の様式は、特許協力条約(PCT)に細かく規定されています。
国際出願書類は、願書、請求の範囲、明細書、図面、要約書で構成されています。
特許事務所はこれらの書類を作成し、日本の特許庁に提出します。
(2)国際段階の手続
国際出願をすると、国際調査機関により国際調査報告が送られてきます。
国際調査報告には、関連する公知文献が列記されています。
特許事務所は、この報告を検討し、どのようにすれば、特許を取得することができるのか補正の方法も含めて企業に提案します。
なお、必要があれば、国際予備審査請求を提案することもあります。
国際予備審査請求をすると、国際調査より一歩踏み込んだ内容の予備審査報告が送られてきます。
(3)各国への移行手続
国際出願は、一定の期間(原則として出願から30月)が経過するまでに、各指定国への移行手続を行う必要があります。
移行手続は、各国の現地代理人に依頼します。
ここで、各国が指定する言語へ明細書などの翻訳を提出する必要があります。
指定国へ移行した後の手続(中間処理)は、パリルートによる外国出願と同じです。
特許事務所は、これらの出願手続の代理だけでなく、その他にもさまざまな知的財産の関連業務を行っています。
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